内科的な腰痛

腰の痛みだけでなく、全身状態が悪く、突然に発症した場合には、おなかの中の大きな血管の破裂なども考えなければなりません。
 また、内臓の病気(胆石)が原因となっている可能性も考えてみる必要があります。
 安静にしていても痛みがある腰痛や、どんな姿勢をとっても四六時中痛みがある場合には、重い病気のことがあるので、必ず病院を受診してください。先にも述べたように、ふつうの腰痛は、そんなに長く続くことはありません。
 子宮筋腫や月経異常など、婦人科の病気によっても腰痛はおこります。女性で、下腹部にも痛みがあるときは、婦人科を受診することも必要です。
 心の病が原因となって、腰痛を訴えることもあります。このような心因性腰痛では、いろいろな整形外科的な検査を行なっても、異常をみつけ出せないものです。
 もっとも頻度の高い腰痛は、つぎのような、整形外科的な原因によっておこるものです。全身状態に問題がない場合は、まず整形外科を受診してください。他科の病気と考えられるときは、それを専門とする科(医師)を紹介してくれます。
●脊椎自身の病気によるもの
 椎間板ヘルニア、変形性脊椎症(多くは老化による)、脊椎分離症・すべり症、脊椎炎、骨粗鬆症、脊椎腫瘍など。
●脊髄の病気によるもの
 背骨の中を通っている脊髄に腫瘍や癒着がおこったもの。
●脊髄から出て、脚に向かう神経の病気
 腫瘍や、なんらかの原因によって神経が圧迫されたもの。
●筋肉や筋膜、腰の周辺の小さな皮膚神経に障害がおこったもの
●いわゆる腰痛症
 X線検査で、腰椎になんの変化もみられず、また、心因性のものでもない、腰部の痛みを訴えるもの。
[治療]
 腰痛は、格別な治療を行なわなくても自然に治るものもありますが、治療としては、つぎのような保存的療法が適当です。手術を要するのは、椎間板ヘルニアや腫瘍など、特別な場合だけです。
●急性期
 背骨やその周辺の筋肉などの負担を軽くするために、横になって休むなど、安静をとることがもっともたいせつです。
 寝るときも、本人がもっとも楽な姿勢、痛みのない姿勢をとるのがよいのですが、多くは、エビのように腰を曲げた状態がよいと思います。
 症状が強い場合は、消炎鎮痛薬や筋肉の緊張を取り除く薬を服用しますが、これは医師の指示にしたがうべきものです。
 また、ぜんそくの持病のある人は、ふつうの鎮痛薬は、ぜんそくを誘発することがあるので、自分で市販薬を買って服用することは危険です。
 受診するときも、必ずぜんそくがあることを、医師に告げてください。
 また、他の病気で薬を服用している人も、必ず医師にそのことを伝えてください。併用によって、副作用が現われることもあるからです。
 いわゆるぎっくり腰など、強い痛みがあるときは、硬膜外ブロックなどの注射が、非常に有効です。
●慢性期
 急性期を過ぎて激痛はなくなったが、痛みが続く人や、初めから強い痛みはないが、くり返し痛みがある人には、つぎのような治療がよいと思われます。
 物理療法 腰部を温めたり冷やしたりする方法で、腰部の血行をよくし、痛みや筋肉の緊張の緩和をもたらします。ホットパック、温めたパラフィン、赤外線、超短波や超音波、氷水などを使用して行なう療法です。
 装具療法 コルセットや腰椎装具を使って、腰椎の運動を制限または固定させる療法です。いろいろな型の装具がありますが、もっとも重要なことは、自分にきっちりと合ったものを装着することであり、したがって既製品ではなく、整形外科病院で、医師の指示のもとに、その人に適したものをつくるべきです。
 運動療法 よい姿勢を保つには、脊椎を伸ばす筋肉と曲げる筋肉とが、バランスよくはたらくことが必要です。
 また、立ったり座ったりするときに脚の筋力も必要です。
 したがって、腰や全身の筋肉をバランスよく強化し、また、拘縮をとることが重要になります。
  生活指導 日ごろから運動をして、全身を鍛えることがたいせつです。そのためには、すぐに自動車やエレベーターなどを使うことなく、歩いたり階段をのぼるように心がけましょう。
 心臓などに問題のない人がエレベーターを使用するのは、自分のからだを弱めていることになります。
 日ごろから、よい姿勢を保つように心がけることがたいせつです。
 一定の姿勢を長時間続けることはよくありません。ときおり、姿勢を変えるべきです。
 立って仕事を続ける人は、片側の足を10cmくらいの高さの台にのせ、股や膝の関節を軽く曲げ、ときどき足を交代するようにします。
 また、座る仕事などでは、背もたれに背を平らにつけるように腰かけ、足が床について、膝が少しいすから浮くくらいがよいと思われます。こうした姿勢になるように、いすや机の高さを調整するとよいでしょう。
 肥満も腰痛の敵ですので、注意しましょう。水泳はよい運動ですが、腰痛のある人は、クロールか背泳ぎ、横泳ぎに限るべきです。

いつもと違う腰の痛みは千代田区・神保町・御茶ノ水にある、神保町鍼灸整骨院にご相談ください。

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